【エロゲの表現規制】について卒論を書こうと試みる

※表現規制の是非を論じるものではありません。

「エロゲ表現規制研究」の参考文献 その0 【テーマとアプローチについて】

こんばんは。

エロゲで卒論書く人(@eroge_thesis)です。

 

さて、改めてになりますが、私はエロゲ(業界)について社会学という分野で研究をしています。

 

その社会学研究では「参考文献や論文の熟読」が基本でございまして。

研究するテーマと同じ、あるいは似たテーマを扱う文献や論文を読むのです。

何を意図しているのかというと、そのテーマに対する単純な知識の拡充はもちろんのこと、その研究が、どのようにテーマに対してアプローチしているか、ということを学ぶことも文献や論文から得られる大切な知見です。

アプローチ、というのは主に調査手法のことで、そのテーマに対してどのような調査を行い、その結果どのような情報が得られ、どのような情報が得られなかったのか。その調査手法がテーマと研究目的(そのテーマについて「何を明らかにしたいのか」ということです)にそぐうものであるかどうか、などを分析し、自身の研究に活かしていきます。

 

このままだと抽象的で分かりにくいので、私の研究テーマの話に戻しましょうか。

私の研究テーマはズバリ、「エロゲ(アダルトゲーム)」です。

この場合、参考文献、論文としてパッと思い浮かぶのは「エロゲに関する研究」ですが、まあそう見つかるわけもなく・・・。

 

こんな時は、視点をいろいろと動かしてみましょう。

例えば、私の研究テーマは「エロゲ」だけではなく、表現規制というのも大きなテーマです。この分野は先人が様々な研究をしてきた分野、ということは想像に難くありません。さらにエロゲを「映像メディア」と解釈すると映画、漫画、アダルトビデオなど表現規制問題の中でかなり議論が活発なテーマが現れてきます。

 

「いやいや、エロゲとAVは同じアダルトメディアだけど全然違うじゃないか」と思われるかもしれません。社会学ではそう考えるよりむしろ、「あるポイントに置いて、AVがこうならエロゲはどうなのか」という比較検討をするための存在として重宝します。

例えば、「AVの審査団体は過去警察に摘発されたことがあるようだ。ではエロゲの審査団体は警察に摘発されたことがあるか?もしなければ、その理由はなぜか?もしかするとそこに、AV(業界)とエロゲ(業界)の違いがあるのかもしれない」みたいに考えます。

社会学は、あるテーマを類似テーマとの関係において分析し、検討する、相対的に考える所に特徴があるように感じています。

 

私が今のところ把握している、私の研究との関連テーマは、「アダルトビデオ、映画、春画、ゲームなどの表現規制問題」児童ポルノなどです。この点については、今後もっと増やしていかなければならないところです。

・・・というのも、私、社会学部のくせに活字を読むのがあんまり得意じゃなくて。

中学生以降、文章より動画やラジオなどのメディアに親しんできたせいで、文章を読む力が養われなかったようです。エロゲはボイスがあるのでいいんですけどね。

 

続いて、アプローチ(調査手法)についてです。

主な調査手法というと、アンケートや聞き取り調査、参与観察あたりが今の私が思い浮かぶそれですが、そのどれにも長所と短所があります。

つまり、得られやすい情報と、得られにくい情報があるということです。

この場合比較としてわかりやすいのは、やはりアンケートと聞き取り調査でしょう。アンケートの良さは多数の人からテーマに対する意見を収集できるということです。統計の知見を借りて、サンプル数を揃えれば、その調査結果はある程度の一般化が許されることになるので、世間の一般的な考えなどを知りたいという時に相性が良いでしょう。

一方で聞き取り調査はどうでしょうか。聞き取りということはある人物、一人から数人に直接話を聞くことになるので、一般性からは大きく遠のきます。ただし、そのテーマについて詳しい個人から話を聞くほうが、その人の主観としての言葉であったり、実感のこもった言葉が得られることから、「面白い」研究になりやすいとは言えるでしょう。これは結構大事なポイントだと思います。

アンケートのデメリットとしては、質問内容や選択肢の作成に技量を必要とするものであったり、そもそもサンプル数を揃えることが難しいことが挙げられます。聞き取りも、その聞き取り対象としたい個人に実際に聞き取りができるかは時の運が絡んでいると言わざるを得ず、聞き取り自体にも研究者のトークスキルが求められることもあるでしょう。

このように、それぞれのアプローチの長所と短所を理解し、調査で明らかにしたいことを参考に選んでいくことが大切です。

 

私の場合、「アダルトゲームの規制について、賛成派、反対派はどのように考え、そして表現者はどのように考え、対処したか」ということが明らかにしたい「問い」です。

これには「ソフ倫表現者(エロゲメーカーの代表)が集まってできた組織である」ということを含んだ言い方になっていますが、概ねは他分野における表現規制研究の文脈に乗せたものです。そしてアプローチとしては、そんなに迷うことなく「聞き取り調査」を選ぶことにしました。

それはこの研究の軸足が、「表現者」に重きを置いていることによります。先に挙げた「エロゲの表現者がエロゲの自主規制に関わる」というのは、他のアダルト業界と比べてエロゲ業界独自のものだと思っていました(調べてから案外そうじゃないっぽいとわかってきましたが)。加えて、自主規制の後には「対応」が必ず存在します。規制された点について、表現者がどのように考え、どのように対応したかを明らかにするには「聞き取り調査」が一番であると考えました。

 

かなり長くなってしまいましたが、今回は社会学研究における「参考文献、論文」について、素人なりにですが説明してみました。

かなりの乱文となってしまいましたが、私の研究について少しでも伝わっていれば幸いです。

社会学はどのようなものか、説明しづらく伝わりづらいものではあると思いますが、とても素敵な学問なので、ぜひご興味持ってくれたらなと思います。

 

次回は実際に私が読んだ参考文献を紹介したいと思います。

また読んでいただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。