「有害コミック」規制運動の展開 という論文を読んでみて
お久しぶりです。
エロゲで卒論書く人(@eroge_thesis)です。
また随分間が空いてしまいましたが、研究自体はじわじわと進めています。
全ての進捗を報告できるわけでもないので、もどかしいところです。
今回は「エロゲ」からは少し外れて、関連したテーマの論文について書いてみようと思います。
それがこちら。
「有害コミック」規制運動の展開
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjscrim/19/0/19_KJ00001702622/_pdf/-char/ja
こちらのwikipediaも参考にしていただければと思いますが、
この論文が発表されたのは1994年ということで、「有害コミック運動」が盛んだった1980年代後半〜1992年頃を受けて書かれたものと思われます。
この論文の調査は、「有害コミック」を規制せよ、と声を発する団体に対して直接聞き取りを行うものです。その目的は「どのようにしてある種のマンガが社会問題になっていったのか、を明らかにすること」とのことですが、読んでいくにつれかなりビックリな事実が明らかになりました。
細かい中身は読んでいただければと思うのですが、雑な結論から言うと「彼らから出される様々な請願書や陳情書には一定のパターンがあり、その書類にある代表者は有害コミック規制について積極的とは限らない。その裏には警察および警察に近しい団体の影響が窺える」と言うもので、これは非常に面白いと感じました。
そもそも表現規制周りでの警察、というのは「わいせつ」概念が曖昧であることもあってかなり疑問視される動きをしていることも多いです。「わいせつ」概念においてどうしても人によって感覚の違いが生まれてしまうからこそ、私も警察の基準が以前と変わったりとかについては仕方ない部分もあるように思っていたのですが・・・。
それが警察が裏で扇動して「有害コミック」規制運動を動かし、条例などの成立を目指している、となればこれは相当なことではないでしょうか。
もちろんこれは可能性の域を出ません。その可能性がどれだけのものか、という点については論文を読んでの各自の感覚に任せたいと思いますし、私自身その可能性を指摘する以上のことを言うつもりはありません。
しかし、「可能性がある」ということを知る、ことは非常に大切なように思います。
考察の可能性が広がるからです。ただし情報を読み誤って根拠のない断定など、行わないようにしたいところですね。
ともかく、私自身表現規制に関する文献にあたる中で、「警察」という国家権力との関係は避けられないものだということに確信に近いものを感じていた中に、このような可能性の指摘があったことは大変刺激的でした。
私はいたずらに警察をバッシングする趣味はないんですが、少しでも真実に近づきたいと思う中で、非常に興味深い情報が得られたので共有したいと思った次第です。
これからも恐れずに文献、論文に当たっていきたいですね。読書は苦手ですが、頑張ろうと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!