【エロゲの表現規制】について卒論を書こうと試みる

※表現規制の是非を論じるものではありません。

エロゲ審査団体「ソフ倫」と「メディ倫(CSA・映像倫)」の現在

どうも。

エロゲで卒論書く人(@eroge_thesis)です。

 

今回は前回の記事で触れたことの続きとして、ソフ倫メディ倫の現在」について書きます。

 

前回の話をざっくり振り返ると、「アダルトゲームの審査団体として唯一の存在だったソフ倫の規制が厳しいことをきっかけに、主にアダルトビデオの審査を行っていたメディ倫がアダルトゲームの審査を開始した。」みたいな話で終わっていたかと思います。

このままだと、業界において二つの審査団体が存在することになり、ある意味同業他社として競い合う関係になっていくわけですが・・・。実際のところはどうなのでしょうか。

 

結論から言うと、団体同士の距離は「ある事件」をきっかけに接近、現在では互いの審査を尊重する旨の覚書を交わしているそうです。

 

そのある事件、というのが・・・。

2007年に日本ビデオ倫理協会ビデ倫)が摘発された事件です。

突然新しい名前を出してしまいましたが、ビデ倫は1980年代から存在する、比較的歴史あるアダルトビデオの審査団体でした。

1990年代にAVメーカーが増加してくる中、ビデ倫の審査基準に不満を持ったインディーズメーカーは独自の基準(安直に言うとビデ倫よりモザイクが薄い、ということです)でAVを市場に流通させ、その人気が高まっていきました。

すると当然ビデ倫の審査を継続的に受けているメーカーはビデ倫に対して審査基準の緩和を訴えますが、ビデ倫はメーカーの要望を突っぱね、結果的に「時代の波に取り残される」構図になってしまいました。

そこからの経緯はそこまで詳しく話を聞いていないのでなんとも言えませんが、焦りと他審査団体(メディ倫ビデ倫に対抗して生まれた審査団体と言えます)との競争意識から審査基準の大幅な緩和が行われたのでしょう。2007年8月23日、ビデ倫審査のAVがモザイク処理が薄すぎるとして摘発、ビデ倫から逮捕者を出す事態となってしまいました。

本来審査団体とは、時に国や地方自治体のお墨付きを得て、それを背景にメーカーにとって(逮捕されないという)安心感のある審査をするものです。それがこのような事態になるのはまさに「なんのための審査団体なのか」という話になりうるでしょう。そしてこのような事件が社会で話題になることによって、この手の産業の存続そのものに影響を与えかねないことも指摘しておかねばなりません。

 

この事件を受けて、結果的にソフ倫メディ倫(2007年時点ではCSA)は接近する形となり、現在に至ります。少なくともソフ倫の意向としては「エロゲ業界を守っていきたい」という思いがあったのだと感じます。

現在、とは言いましたが今ってメディ倫(現在は日本コンテンツ審査センター)審査のエロゲって出てるんですかね?調査不足、というか日本コンテンツセンターのHPにほぼ情報がないことに加え、電話でお伺いしてもほとんどお話いただけなかったので大変厳しい状態なのですが・・・。詳しい方がいらっしゃったらお話を伺いたいところです。

あるとすれば以前メディ倫で販売していたメーカーの作品が今も日本コンテンツ審査センターから出ている、ということはあるでしょう。しかし審査基準について競争状態を避けるような話し合いをしていることを考えると、業界内でも積極的な活動を行うソフ倫にメーカーが流れていくのは自然なことと考えられます。今現在新しく生まれるメーカーのほとんどはソフ倫に加盟しているのではないでしょうか。

 

どうしてもいくつか疑問は残ってしまいますが、ひとまず現在もエロゲの審査団体は二つ、存在しているけれども熾烈な競争状態と言える状況ではない。その理由は過去AV業界で起こった「あってはならない」事件によるものだ、ということです。

 

今回はそれなりに綺麗にまとまった気がするので満足しています。

次回はどんな内容を書こうか、と悩むところもありますが頑張っていこうと思います。

ご覧いただきありがとうございました。